2016年12月28日水曜日

英検協会が発表の『ライティングテストの採点に関する観点および注意点 』



タイトルの通り、英検協会は、


ライティングテストの採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)


というページを公表して、ライティングに際して注意すべき点を事前に教えてくれています。







詳しくはそちらを読んでもらうのが一番として・・・、


ここでは、特にそのなかから気になった点を紹介してみます。









★評価基準について

英検のライティングは4つの観点から評価されますが、その各々について、アドバイスが書かれています。

まず、第1の観点、【内容】についてのアドバイス(引用):



理由を書く際に、単純に「安いから」や「便利だから」だけでなく、安くなることがどういうことにつながるのか、また便利になることの具体的な例なども書きましょう。

2級以上のライティングでは、そもそも「理由」を1つポンと書くだけでは、語数が足りません。(一方、3級だと逆に、『理由』を2つ書くだけで語数が埋まります。)


そこで、その理由をより詳細に説明してあげたり、


あるいは具体例をあげて話の説得力を強化したりする必要がでてきます。


そうして話を広げていく練習をせずに本番に挑んでしまった受験者がたくさんいたのか、英検協会から、改めてこういうアドバイスが出ています。









そして、第2の観点、【構成】についてのアドバイス(引用):



伝えたい情報の流れや展開を示す表現(接続詞など)を効果的に使って、自分の意見とその理由や英文全体の構成をより分かりやすくするようにしましょう

「構成」のポイントの1つとして、読み手が、頭から終わりまで、よどみなく読み進んでいけるか? というのがあります。


これを助けるために、soandなどに加えて、


For example,Moreover,のような転換語を使うことも効果的なので、これは練習の時点から自然に使えるようになっておいた方が安全。









そして、第3・第4の観点、【語彙】と【文法】についてのアドバイス(引用):



同じ語彙や表現の繰り返しにならないように、文脈に合わせて多様な語彙や表現を適切に使用して、・・・(略)


同じような形の文の繰り返しにならないように、多様な文のパターンを適切に使用して、・・・(略)
どちらも、同じ表現を繰り返さないようすすめています。

焦っていると、どうしても以下のように、同じ表現を(無意識に)何度も使ってしまいがちです。


First, OOO is convenient, because ~. 

For example, 
So, I think OOO is convenient

英語のライティングでは、これは好まれません。同じような内容でも、それを別の言い方で表現するパラフレーズの力が試されていると考えて、違う表現をする練習をしておきたいところです。


many ~ だけでなくa large number of ~ 等の表現も使ってみるとか、あるいは文の構造自体を変えてみるなど、工夫の余地がたくさんあるでしょう。










この英検のページではその後、「解答作成時の注意点」として、


実際の受験者が本番でやってしまいがちなミスを、具体例を使って紹介してくれています。


とても勉強になるので、一読をおすすめします!


☞ ライティングテストの採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)



2016年12月24日土曜日

英検の合格点について(CSEスコア)




英検は、2016年度から、合格の判定方法が劇的に変化しました。

そこで、今回は、英検の「合格点」について紹介します。




~~~
(2017.2.24)
 準2級・3級の記述を最新版に改めました。
~~~






さて、以前の英検は、一次試験の合格点は、毎回変化していました。

例えば「全75点満点のうち、今回の合格点は46点」のように、基本的には素点で計算することができました。








これが、2016年度から変化し、素点ではなく、「英検CSEスコア」という数値で計算されることになりました。

これは、素点とは全く違う数値で、「1問正解したら、CSEスコアで〇点」のような決まったルールがないため、自己採点で事前に計算することはほぼ不可能となっています。

(統計的処理でスコアが算出され、たとえ同じ正答数でも、受けた回によってスコアが変化します。)





以下の表は、英検協会のウェブサイトで掲載されている、一次試験の合格基準となるCSEスコアです。(参照元: 英検CSEスコアでの合否判定方法について 







◆1級~3級

の場合、まず一次試験では、Reading・Listening・Writingの3セクションの各CSEスコアの合計点が、上記の「合格基準スコア」以上となっているかで判定されます。

【1級】では、1セクションの満点が850点なので、3セクションの満点は2,550点。この3セクションの合計点が、上記の2,028点に達していれば、一次試験は通過となります。

同様に考えて、

【準1級】のセクション別の満点は750点(つまり3セクションの満点は2,250点)。このうち上記の1,792点に達していれば通過。

【2級】なら、1セクションの満点が650点(=3セクション満点が1,950点)で、このうち上記1,520点に達していれば通過。

【準2級】なら、1セクションの満点が600点(=3セクション満点が1,800点)で、このうち上記1,322点に達していれば通過。

【3級】なら、1セクションの満点が550点(=3セクション満点が1,650点)で、このうち上記1,103点に達していれば通過。

・・・まとめると、こうなります。




セクションごとの配点が等しくなっているという点にも注意が必要で、ここも以前との大きな違いです。

つまり、たとえば60分かけて解いたReading問題と、20分で書き上げたWriting問題の配点は同じ。(以前のシステムに比べて格段にWriting問題の比重が大きくなっており、入念に練習しておく必要があります。宣伝になってしまいますが、英検ライティングの問題集を以前作ったので、こちらも興味があればどうぞ。)





なお、上記の英検協会のウェブサイトには、こう書かれています。


技能ごとに問題数は異なりますが、問題数に関係なく、各技能にスコアを均等に配分しています。
したがって、技能ごとに1問あたりのスコアへの影響は異なります。
ただし、同じ技能の問題であれば、どの問題で正解してもスコアへの影響は同じです。

ラストの1文にも注意が必要です。以前のシステムでは、たとえば「長文なら1問2点」のように、問題ごとに配点が異なるときもありましたが、上の文から考えると、こういったやり方は廃止されていると見た方がよさそうです。










◆4級・5級

これらも、将来的にライティング問題が登場すると思いますが、それまでの間は、以下のように、ReadingとListeningの各セクションのCSEスコアを基準に考えます。












ここで注意が必要なのは、例えば2級の場合、1,950点満点のうち合格点が1,520点となっていますが、

つい「1,520 ÷ 1,950 で、約78%正解しないと合格できないのか?」と思ってしまいがちですが、そうではない、ということです。

上述のように、CSEスコアを、素点から単純計算することはできません。実際、上の英検のウェブサイトにも、次のように書かれています。


正答数の目安を提示することはできませんが、2016年度第1回一次試験では、1級、準1級は各技能での正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格されています。

以前から、「1級と準1級の合格点の目安は7割」・「2級以下なら6割」という感じでしたが、だいたいこの目安は変わっていないようです。









なお、こうして一次試験を突破した後、二次試験(Speaking)の合格スコアも、以下のように定められています。











さて、このCSEスコアの良いところとしては、別々の回で受けても、CSEスコア同士での比較が可能という点があります。(たとえば、6月の英検でCSEスコアが1480、10月で1570だったなら、この人は英語力が上がっていると考えられます。)

また、次の級との近さも分かります。

たとえばAさんは、2級を受験して、一次試験のCSEスコアが1,800/1,950でした。

この1,800というCSEスコアは、2級の合格ライン(1,520)どころか、準1級の合格ライン(1,792)も超えています。

つまり、Aさんは準1級を受けても、一次試験をなんとか通過する力がありそうだという目安になるわけです。

・・・ちなみにこのAさんのスコアは、実在している受験者さんのものです。この人は二次試験のスコアの方は568でしたが、これも、2級の合格ライン(460)だけでなく、準1級のライン(512)を超えており、こうなると「ぜひ次の回では準1級にトライしましょう」ということになります。









・・・以上、英検(2016年度~)の、合格点について説明してみました。

詳しくは、以下の英検協会のページをご覧ください。(この記事を読んだ後なら、理解しやすいと思います。)
 英検CSEスコアでの合否判定方法について 







2016年12月16日金曜日

IELTS) Speakingで話す時間 (特にパート2の回答時間)



IELTSのスピーキングでは、次のように時間の目安が決まっています。(参照: Understand the Speaking test

Part 1  Introduction and interview
4~5分

Part 2  Individual long turn
3~4分
(※スピーチする時間自体は1~2分)

Part 3  Two-way discussion
4~5分






TOEFLとの比較の記事でも書いたように、ここがIELTSの特徴で、

TOEFLだと45秒 or 60秒 という厳密な時間制限がありますが、IELTSの場合は、話す時間の制約が緩くなっています。






IELTSでは、スピーキングのテスト中、面接官は手元のタイマー等で時間管理をしています。



Part1Part3では、
それぞれパート全体で4~5分という枠が決められているので、その時間が過ぎるまでの間、いろいろな質問が飛んできます。
つまり、1つの質問に対して各〇秒以内で答えるといった細かな制約があるわけではないので、各質問に対してやや長めに話して、自分のボキャブラリーや文法、Fluencyをアピールすることが可能です。



一方のPart2では、
提示されたカード(というか冊子)に書かれた内容について、1分で準備して(メモ用の紙と筆記具が渡されます)、その後「1~2分」で1人で話し続けるわけですが、ここでTOEFLに慣れている人だと、「2分以内きっかりに収めて話さないといけないのではないか」と思ってしまいがちです。

しかし、そこを気にする必要はありません。実際には2分を過ぎると面接官が"Thank you."などと言って話を止めてくれますので、それまで話し続けて、存分に自分の英語力をアピールして大丈夫です(※ただし、話すことがないのに無理して2分間引き延ばそうという意味ではありません)。

ここは、TOEFLからIELTSに移ったときに一番カルチャーショック(?)を受ける部分ですが、試験室に腕時計すら持ち込めないような状況で、2分ギリギリでスピーチを締めくくるというのはそもそも無理な話ですよね。だから、「どうせ2分を過ぎたら止めてもらえるから、それまでしっかり話して、自分の英語力を出し切ろう」というつもりで臨めばよいでしょう。





なお、

★Part2では、スピーチを終えた後、Part3に移行する前に、スピーチの内容について軽く追加質問されることがあるので、気を緩めないように!

というのと、

★Part1, Part3でも、やはりPart全体としての時間制限に達したら答えている途中でもさえぎられることがあるが、それは単に時間管理のためなので、ヘコむ必要はない

という点も、おまけ情報として付け加えておきます!

参考にしてください。では!






IELTS) Speakingの序盤の流れ(かなりの確率で聞かれる質問)


一斉にテストが行われるListening・Reading・Writingと異なり、IELTSのSpeakingでは、各自の集合時間が決められています。

今回は、その後の序盤の流れについて紹介してみます。



~~~



まず、集合時間までに会場に到着します。

他の記事でも書いていますが、「試験開始時間」ではなく、それよりも早い「集合時間」に遅れないように注意します(※実際、それに遅れて受験を断られている人を目撃した経験アリ)。





(※以下、細かい点は変更の可能性があるので、目安と思って読んでください。)

会場に着いたあと、受付でパスポートを提示し、改めて指紋認証を行います。

その後、パスポート以外の荷物は全てロッカーへ。(カギのない、普通のロッカーを覚悟しておいた方が良いです。)

そこから緊張しつつ椅子に座って待ち、集合時間から約10~20分経ったころ、

1人1人、試験官が名前を呼びに来ます。

名前を呼ばれる順番はバラバラなので、1人目が呼ばれるタイミングが来ると、

みんな「次は自分が呼ばれるかな」とか、「どの面接官が自分にあたるんだろう」とか考えながら、ソワソワした感じになりますが、

とにかく呼ばれたら元気に返事をして、一緒に面接スペースに向かいます。









部屋に入ると、おそらく「机1つ」&「向かい合ったイス」があるはずです。

指示された方のイスに着席して、そこから面接スタート。






~~~



それで、スピーキングで何を聞かれるかはそのときにならないと分かりませんが、

序盤の内容は、だいたいほぼ同じような感じです。(※以下、細かな言葉づかいとか、話す順番などは、試験官によって変わると思って読んでください。)







★For marking purposes, I'm going to record the interview. Is that okay?

これは、聞かれるかどうか五分五分ってところな気がします。
IELTSでは、スピーキングテストの内容を、ボイスレコーダーで録音します(※後日、試験結果に納得いかない場合は、この録音データを使って再審査してもらえる)。


そこで、録音してよいか? と聞かれることがあります(聞かれないこともありました)。

その後、このボイスレコーダーに、面接官が1人で必要事項を吹き込みます。

詳しくは覚えてませんが、

This is the recording of the international English language testing system, 
 みたいな雰囲気のことを話し始めて、
The examiner is 誰々...
 とか
The candidate name is ...
The candidate number is ...
 とか、

そういう必要事項を面接官がボソボソっと1人で吹き込みます。
10秒強ぐらいで終わるので、ここはボーッと待っていてOKです。









★ I'm ~~~. What's your name, please? / Can you tell me your full name?

★ Can I see your identification? / Could you show me your identification? / May I see your passport, please?

おそらく、名前はほぼ確実に尋ねられるはずです。
また、パスポートも見せるよう求められます。passportと言ってくれれば分かりやすいですが、identification(身分証明書)と言われた場合でも、結局は「パスポートを見せてほしい」と頼まれているので、"Here you are."という感じで渡してあげてください。









Are you a student or do you have a job? / Do you work or do you study?

これは聞かれないこともあるようですが、個人的には高確率で最初に尋ねられてきた質問です。

もう最初からこれは聞かれると想定して準備しておいた方が安全だと思います。
ここで「えーと、〇〇を専攻している、って何て言うんだっけ」とか考えて詰まっていると、序盤から、評価基準Fluencyに影響してしまってもったいない! ので、この質問が来たらどう答えるか練習しておくのが良さそうです。







こうした流れを経て、次第に具体的な質問へと移っていきます。

初めて受験する場合はどうしても緊張してしまいがちですが、大雑把な当日の流れをイメージしておけば、少しは精神的にも楽になるんじゃないかと思います。




なお、動画でイメージをつかんでおきたい人は、以前に紹介した
 IELTSスピーキングの、Band別の動画
という記事から飛んで行って、序盤だけでも動画を見ておくとかなりイメージしやすいはずです。

では!




TOEFLの受験料が改定されています。


2016年12月よりTOEFLの受験料が改定され、235ドルになりました。

TOEFL iBT® テスト申込の前に

今まで230ドルだったので、5ドルの値上げとなります。受験する方はご注意を!




TOEFLとIELTSの比較を



TOEFL iBT と IELTS。どちらを受けるべきか悩む人も多く、よく比較されていますが、両方に複数回チャレンジしている経験から、自分も書いてみます。


前半でテスト形式についてコメントして、後半では公式に発表されている比較データを紹介してみます。 (※以下IELTSは、Academic Moduleを前提に書きます。)





1. テスト形式

(↑クリックで拡大します)





まずは、全体的な比較から。




◇テスト全体として


TOEFL 
  • 全てパソコンで実施。
  • 全セクションを一度に終わらせる(※途中に10分だけ休憩)
  • 120点マックス(1点刻み)のスコア表示。各セクション(30点マックス)の合計点。



IELTS 
  • LRWは答案用紙への手書き。Sは対面での面接。
  • LRWを一気に実施した後、Sは別のタイミング(同じ日or後日)で実施。
  • 9.0マックス(0.5刻み)のバンド表示。各セクション(9.0マックス)の平均値から算出。



やはり最大の違いは、TOEFL iBTは全てパソコンで完了するという点でしょう。パソコンが並んだ各地のテストセンターで実施されます。人によって開始タイミングがバラバラのため、リーディング中に隣の人がマイクの音声テストを始めたり、リスニング中なのに周りがスピーキングを始めたり・・・と、集中力を保つのがけっこう大変なテストでもあります。

一方のIELTSは、21世紀とは思えないほどのアナログなテストです。ReadingもListeningも答案用紙に手書きで、採点も人によって行われます。Writingも、もちろん手書き。(2016.12現在、日本の会場では鉛筆のみ可。シャーペンすら使えません。) その後、時間をおいてスピーキングテストが行われますが、これは面接官との対面試験です。 

テストの内容そのもの以前に、こうした形式面での好みが分かれるところです。








◇Readingセクション


TOEFL 
  • 1番目に実施。計60分で、全3パッセージ。(※ダミー問題が無い場合)
  • 全40問強で、問題によっては配点が高い。
  • 全て選択肢から選ぶ問題。
  • 1パッセージあたり700語程度。



IELTS 
  • 2番目に実施。計60分で、全3パッセージ。
  • 全40問で、全て同じ配点。
  • 記述式で、選択肢問題・穴埋め・正誤判断など、問題の種類が幅広い。
  • 1パッセージあたり700~900語程度。



セクション別の比較ですが、まずはReadingから。個人的には、4セクションのうちで最も類似性の高いのがReadingだと思います。(実際、TOEFLとIELTSの得点の相関も、Rが一番高いのですが、それは後述します。)

ただし、上記のように、IELTSの方が時間内に処理すべき語数が多い点には注意です。一方で、TOEFLはパソコン画面のため下線を引いたりできませんが、IELTSは紙媒体なのでマークは付けたい放題です。また、TOEFLでは初っ端がReadingのため、集中するのが大変ともいえます(試験室に入場する受験者が随時現れるので、周りがザワついている)。

取り上げられる話題はどちらも多種多様ですが、個人的には、TOEFLの方が、より客観的でアカデミックな内容が多い印象です。(大学1年生向けの、入門レベルの教科書から抜粋しているような感じ。) それに比べて、IELTSではもう少し幅広い分野の話題(アカデミックというより、社会的なトピックとか)も出てくるような気がします。

パッセージ自体の難易度は、自分としてはあまり差を感じません(が、全体としてはIELTSの方が難しいと感じる人の方が多いという感覚です。よりスピードが必要というのが一因にあると思います。)








◇Listeningセクション


TOEFL 
  • 2番目に実施。解答時間あわせて約50~60分で、全6音声。(※ダミー問題が無い場合)
  • 会話が2つ、単独語り系が4つ(※生徒が質問する声が入ったりもする)。
  • 部屋での一斉放送。再生は一度のみ。
  • 全34問で、問題によっては配点が高い。
  • 全て選択肢から選ぶ問題。問題の先読みができない



IELTS 
  • 1番目に実施。約40分(うち10分は答案用紙への転記タイム)で、全4音声。
  • 会話が2つ(最大4人)、単独語り系が2つ。
  • パソコンに接続されたヘッドセットで各自が聞き取り。再生は一度のみ。
  • 全40問で、全て同じ配点。
  • 記述式で、選択肢問題or穴埋め。問題の先読みができる



続いてリスニング。個人的な感覚では、IELTSの方が解きやすい気がします。大きな理由が、問題の先読みが可能なことです。問題用紙が配られるため、音声(IELTSではRecordingsと呼ばれる)を聞く前に、どこに注意しながら聞けばよいかが明確に分かる形式になっています。一方でTOEFLはパソコンで実施されるため、先に印刷された問題をチェックすることができません。メモをとりながら一気に音声を聞き、その後、それに関する問題が順番に登場します(一度次の問題に進んだら、戻ることはできない)。

また、内容面でも、IELTSの方がとっつきやすいように感じます。特に差があるのが単独語り系(モノローグ、1人がメインでずっと話す音声)で、TOEFLではほぼ確実に大学での授業を想定した構成になっており、アカデミックな内容。話題によっては(たとえば宇宙に関するトピックなど)、耳だけで一度で理解するのは難しいこともしばしばあります。一方のIELTSでは、TOEFLに比べて専門的な話が出てくることが少なく(※あくまで感覚値ですが)、また先読みできるため事前に話題がある程度 想像できることと合わせて、取り組みやすいという印象です。

ただし、IELTSは記述式のため、スペルや、単数形vs複数形 など、答える際に細部にも気を配る必要があります。あとは、Britishアクセントが多く登場するため(&それ以外もけっこう登場する)、基本的にアメリカの発音を中心に学校で学んできた日本人にとっては、慣れが必要になってくる点には少し注意が必要です。








◇Speakingセクション


TOEFL 
  • 3番目に実施。約20分で、全6問。
  • 自分の考えで語る問題が2問(各45秒)、文章+音声を要約する問題が2問(各60秒)、音声を要約する問題が2問(各60秒)。
  • マイクで録音する形式。時間制約は厳格(時間が来たら録音ストップ)
  • 各問題が4点満点で評価される(人間の採点官)



IELTS 
  • 4番目に実施。約11~14分で、全3パート。
  • 身近な話題の質疑応答(パート1=4,5分)、2分以内のスピーチ(パート2=3,4分)、より社会的な話題でのディスカッション(パート3=4,5分)
  • 対面での面接形式。1問あたりの喋る分量、時間の制約は緩め(ちょうどいいところで面接官が止めてくれる)
  • 全パートを通じた出来がバンド評価される(人間の採点官)



スピーキングは、かなり形式が異なります。まずTOEFLは、時間制限が厳しく、録音タイムが過ぎると、自動的に録音がストップされます。また、6問のうち半分以上で、文章and/or音声 の要約が求められるため、話す力のみならず、読解力・リスニング力(※特に後者)も強く求められます。つまり、どれだけ話すのに長けていても、要約すべきリスニング音声の内容が理解できていなければ、力を発揮しようがないということになります。

他方、IELTSは、パート毎に目安の時間が決められており、それを過ぎると面接官からストップがかかるわけですが、その間の1問1問の応答に「〇秒」といった制約があるわけではありません(※スピーチ以外)。これは精神的にはありがたいところです。(個人的には、TOEFLの『制限時間内できっちり収めて話し切る』という緊張感も好きですが・・・。) また、要約問題などは存在せず、全て面接官の発話に対して自分の言葉で答えていくという形なので、リスニングが苦手な人には向いているかもしれません。

とはいえ、1つ注意しておきたいのは、IELTSのスピーキングは、人によってスタート時間が異なるため、場合によっては(特に1Dayで実施する日程のとき)待ち時間がかなり発生します。割り当てによっては夕方6時を過ぎてからスタートという場合もあるので、そこは申込時に覚悟が必要です・・・。








◇Writingセクション


TOEFL 
  • 4番目に実施。約50~60分で、全2問。
  • 文章と音声を要約する問題(読解3分+リスニング+回答時間20分)と、お題に対して自分の意見を展開する問題(30分)。
  • キーボードでの入力。
  • 各問題が5点満点で評価される(人間の採点官と、e-raterというプログラムによる採点



IELTS 
  • 3番目に実施。60分で、全2問。
  • 図表などを説明する問題と、お題に対して自分の意見を展開する問題(時間配分は自由だが、20分+40分 という割り当てが推奨されている)
  • 手書き。
  • 第1問:第2問 の比重は1:2で、それらを総合してバンド評価される。(人間の採点官)



ライティングも、まずは形式面での違いが大きく、TOEFLはキーボードでの入力が求められるため、タイピングに長けている必要があります。一方で、あとで文を挿入するなどの操作も簡単なため、答えを編集しやすいという利点も。IELTSは手書きなので、そうした操作はほぼ不可能です。また2016.12現在、日本でのIELTSでは鉛筆しか使えないため(シャーペン不可)、そこも少し不便です。

また、スピーキングと同様に、TOEFLでは読解力・リスニング力が求められる点も重要で、これに比べるとIELTSは取り組みやすそうに見えると思います。ただし、図表の問題はやはり独特で、しかも毎回どんな図表が登場するか分からない(棒グラフや折れ線グラフだけでなく、表や、商品を生産するための工程、さらには地図などまで登場しうる)ところが大変です。

何より、一般に、TOEFLよりもIETLSの方がライティングの採点が辛めのことが多いと言われており、苦労するケースが少なくないようです。(これは、下記のデータのところでも改めて少し紹介します。)









・・・長くなりますが、続けて、両テストのスコアについて、データを紹介してみます。




2. スコアの比較

少し古いですが、2010年に、TOEFLの実施団体であるETSが発表した研究レポートがあります。

(PDFが開きます)

Linking TOEFL iBT Scores to IELTS Scores (ETS: A Research Report)


このリサーチは、「TOEFLもIELTSも受験した」という1000人以上からスコアを教えてもらい、それを比較したものです。


「スコアを送ってくださいー」と呼びかけて、集まったデータの中で信頼できるものを使ったわけですが、やはり成績が比較的良い人の方がこういう呼びかけに反応しやすいようで(確かに、悪かったときの成績を喜んで送ろうという気にはなりにくいですね・・・)、結果的に母集団は、テスト受験者全体と比べると成績が良さげな人が多くなっています。


・・・などなど、完璧なリサーチとはいえませんが、参考になることは確かなので、紹介します。







◇両テストの相関

まず、テスト全体の合計点(IELTSならOverall Band Score)と、それから各セクションにおける、TOEFLとIELTSの相関がどれぐらいあるかについて。




この表は、上記PDFから抜粋したものです(p.8)。


これによると、合計点(総合バンドスコア)の相関係数は0.73となっています。専門じゃないので大雑把な知識ですが、「相関係数が0.7を超えていれば、両者はかなり高く相関していると言える」と考えれば、両テストはこの基準をクリアしているようです。


ここで各セクションに目をやると、最も相関係数が高いのがReadingの0.68です。Readingでは語数の違いはあるもののあまり両者の差はないように感じると書きましたが、相関の方も高い値を示しています。対照的に、Writingの相関係数が最も低く、0.44となっています。ちょっと両テストの違いを象徴しているような感じです。









◇セクション別のスコアの対応

それでは、具体的にセクションごとにスコアがどう対応していたか?
というのを、全てまとめたのが以下の表です。



各セクションでかなり対応が異なってきますが、特にWritingにおいては、

TOEFLで25点レベルの受験者でも、IELTSではBand 5.5にとどまっており(他セクションなら、25点に対応したバンドはどれも7以上)、
ほぼ満点の29点をゲットしてやっとIELTSのバンドが7.5です(他セクションなら、29点に対応したバンドは8.5~8)。
完全なデータとは言えないですが、上の表からは、他セクションに比べて特にWritingはTOEFLよりIELTSの方が採点が厳しめというのは当たっているように見えます。








◇総合点(総合バンドスコア)の対応

最後に、全体のスコアの対応を表にしてみると、こうなります。





ただし、これは当時のETSのリサーチで対象となった母集団から導かれた対応表で、現在よく日本で使われている換算点の列も加えると、次のようになります。(下の『有名版』という列。)





どちらの信憑性が高いかという問題はありますが、TOEFLやIELTSのスコアを受け入れている大学は今のところ(2016.12現在)、真ん中の『有名版』という方の換算点を使用しているケースが多いのではないかと思います。(例:英語4技能試験情報サイト『資格・検定試験CEFRとの対照表』) 

一応、真ん中の列のスコアも、ETSによる別の資料をもとに算出されているんですが・・・(*1)けっこう差がありますね。(例えばTOEFLで71点の場合、左の列からするとバンド6ですが、有名版ではバンド5程度となります。)


*1
以下で閲覧できます(PDF)。これ自体は厳密にはTOEFLとIELTSを比較したものではなく、TOEFLのスコアを、CEFRという枠組みに当てはめるとどうなるかという点を考察したものです。それを、IELTSのCEFRの枠組みでのバンド分類と組み合わせて、力業で比較可能な換算表にしたのが、上記の2,3列目の対応表だと理解してます。





3. まとめ

ここまで長く書いてきましたが、最終的には「自分に合ったテストを受けるのが一番」なのは間違いなく、じゃあどちらが向いているのかを知るには、正直、トライしてみるしかない気がします。

とはいえ、どちらも受験料が高いので、お試しで受けるにしてはハードルも高いのは確かです。
そういう場合は、まずは問題集でチャレンジしてみて、合っていると思う試験を受けてみるのも良いかもしれません。


まずTOEFLについては、「公式ガイド」と、「公式問題集」の両方について、過去に以下の記事で紹介しています。良かったら参考にしてください。

公式ガイド
公式問題集


IELTSは、定期的に新しい公式問題集が販売されています(が、ちょっとお高めです・・・あとは音声ダウンロードでトラブルが発生した人が多いようなのが心配点)。それぞれ、4回分ずつ問題が入ってます。



 


また、日本語版で、「日本初!ブリティッシュ・カウンシル公認のIELTS問題集」と銘打った問題集が2015年に販売されています。(こちらはまだしっかり読んでいないので、また使ってみたらレビューを書きたいと思います。とりあえず今は紹介だけしておきます。)




また、このほかにTOEFLやIELTSの情報は定期的にアップデートしていきたいと思っていますので(最近はIELTSメインの記事が多いですが)、そちらも参考にしてみてください! では!





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